「友情」

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「もしも檻を開けることが出来たとしても、来ない2日間がいつかわからないと安心して逃げれないよね?」 雫の言う通り、今日がどの日にあたるのかがわからなかった。 来ない2日間は、ここから逃げるには絶好のチャンス。 それを逃せば、ハッコの言うように、みんなどうなるのかわからない。 「それなら大丈夫よ。」 ハッコの声が響いた。 「いつもより多い餌を置いた夜から2日間はここに来ないの。私の体内時計で言うと、今日がその日ね。いつもは朝日が昇る前に来るけど、今日はあなたたちを連れてきた以外人間は来てないもの。今夜必ず来るわ」 「さすがハッコ!ありがとう!」 トトのお礼に照れたようなハッコの声が控え目に聞こえた。 「...お役にたてたみたいで良かったわ...」 雫とトトは顔を見合わせ微笑んだ。 それから暫くして、ハッコの言う通り人間は餌を持って来た。 食欲がない子達も居たけど、トトは皆に食べるように言い聞かせた。 そうしてお腹がいっぱいになった猫達の寝息が聞こえ始める。 「雫、ここにおいで」 トトは丸くなってお腹のところに雫を呼んだ。 座ったままウトウトしていた雫は、言われるままトトに身体を沈めた。 「何だかんだまだ小さいんだね...」 トトは雫を温めながら、すぐに耳を澄ます。来てすぐはわからなかったけれど、檻の数より、猫の数は少ないと言う事。 ほとんどが空っぽの檻だ。 と言っても、此処から逃げるとなれば、それなりの時間は必要だ。 耳を澄ますも、人間の声は聴こえない。 蛙が跳ねる音。 鳥が羽ばたく音。 人間を感じるとすれば、鉄の塊が走り去る音くらいだった。 「あたしも少し寝なきゃ...これからが大変だもんね、」 トトは子供たちを心配しながら、眠りについた。
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