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「決行」
その音で一斉に耳が動いた。
眠っていた者も、起きていた者も、瞬時に気配を感じ取ると、身体を起こし外の様子を伺う。
ガタンッと、トタンが跳ね返るような音に身体がビクリと驚いた。
「...おい、大きな音を出すなよ」
「わかってるけどよぉ...どうもここを通れる気がしねぇんだよなぁ...」
「食い意地ばっかはってるとそうなるんだぞ、少しは体型を気にしろ...」
「おい、俺から食い意地を取ったら何が残るんだ!?」
そんなやり取りに雫は目をクルクルとさせ嬉しそうに笑う。
「全く騒がしい雄たちだね...」
トトは呆れたように呟いた。
「お!入った入った!見ろよロキ!俺だってまだまだスマートだってことだろ?!」喜ぶキジの後ろから難なく通り抜けたロキが顔を出した。
「...に、しても...こりゃすげぇとこだな…」ロキは独り言のように呟いた。
「おーい!雫!トトー!助けに来たぞー!」
「キジー!」
目をウルウルさせた雫がキジとロキを呼ぶ。
「無事だったか?」
雫は何度も頷いた。
「ロキ、向こうにルルが...キュウはやっぱり此処にはいないみたい」
トトが状況を伝えると、ロキは身軽に飛び上がり、檻を次々に渡り、ルルのところへ回った。
「さてと、ここからが問題だぜ...」
キジは檻をマジマジと見るとどうやってここから皆を出すか考え込む。
「やっぱりあれしかねぇか...」
「あれって?」不敵に笑うキジに、雫は返答を急かす。
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