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「私を見て気が立つと言うことは、よく言われる猫とカラスは天敵って話が元なのだね。だがそれはどこから生まれた話なのだろうか?そもそも私は猫達を傷付けたことはないし、はてさて、私の仲間がしたことを私の責任でもあるとすれば、それは少し迷惑な話だね。」語り始めたカラスに呆気に取られる猫達。
だが雫は檻から手を出し、黒い羽を突っついた。
「プル!」
「やぁ、雫。やっと会えたね。まさかこんなところに住処があるなんて、さすがの私もわからなかったよ。随分と捜したんだよ?どうしても言い忘れていたことを伝えたくて、あの辺りを捜したんだけど見つからなくてね。そうしたら、猫達が仲間が消えたと騒いでいたものだから、私は胸騒ぎを覚えてそこら中を飛び回ったのさ」
「そんなことよりプル聞いて!」
優雅に羽を広げ、語り続けるプルの話を遮ろうと、雫は声を掛けるも、キジにその場を横取りされる。
「おい!」そんなやり取りに我慢出来なくなったキジは、ズカズカと檻に近付くと、威嚇しながら叫んだ。
「雫とカラスが知り合いってどういうことだ!?」プルは、バサりと羽を広げ飛び去ると、隣の檻に止まる。
「君こそ、雫と知り合いとは驚きだ。何故そう思ったかと言うと、雫はとても可愛く可憐なお嬢さんなのだよ。それに比べ君は何というか乱暴で品がない。そんな君に雫と知り合いなのかと責められる筋合いはないのだよ。」
「...っんだと!?俺はな!雫がひとりで歩けねぇような時から面倒見てるんだ!言わば兄のような存在だ。」
「なるほど。それは失敬。」
「なーにが失敬だ!澄ましやがって!」
プルはキジをからかうように周りを飛び回った。
「ちょっと2人ともやめてよ!」
雫の声は届くことなく、騒がしいキジとプルに溜息を吐いた。
2人が言い合う姿を横目に、ロキが雫の前に来る。
「誰よりもカラスを嫌ってたおまえが、何でカラスと親しげなんだ?」
「そうよ雫...何があったの?」
トトも割って入ると心配そうに言葉を投げ掛けた。そうして雫は、事の経緯を語る。
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