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「いいかい?これは簡単に外せる仕様だ。猫を捉えるには、この檻でいいと思ったんだろう。何故なら君たちには嘴がないからね」
ほくそ笑むようにプルは淡々と話す。
「おまえ、馬鹿にしてんのか?俺たちには牙と爪があるんだよ」
キジは得意気に見せびらかす。
「だがそれではこの檻は開けられないんだよ。見てなさい」
プルは嘴で器用に掛けられた鍵を持ち上げる。カタンと音が響き、瞬間扉が開いた。「開いたぞ!」
ロキに飛び付いた雫は、安心したように擦り寄った。
「なかなかやるじゃねぇかカラス」
キジは小さくプルに声を掛けた。
「プルだ。カラスと呼ぶのはやめてくれないか?」
雫はプルの前に駆け寄ると、キラキラの眼差しでお礼を告げた。
「ありがとうプル。皆の檻も開けてくれない?」その言葉を聞いて、プルはロキを見た。頷くロキを確認したプルは、次々と檻を開けた。
瞬間、檻から飛び出した数匹の猫達は、小屋を飛び出して行く。
「お...おい!おまえらッ」
前に出たキジが飛び出して行く猫達を呼び止めるも、既に居なくなった後だった。
「...仕方ねぇよ。ずっと閉じ込められてたんだからな。自分たちで帰れるならそれでいいだろ...とにかく、俺たちも此処を出るか...」
ロキはそう言って振り返る。
雫とトト、それにルル。
仲間を見て安心したようにロキは笑った。
その背後で、1匹の子猫と、ハッコがいることに気付く。
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