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「お前達は...どこから連れてこられたのかわかるか?」
ロキは怯える子猫に声を掛けた。
頭を小さく振る。
「私は、途中までならわかるの...。連れてこられる時に、景色を覚えておいたから...でも、この子の事はわからないわ。私が檻に入れられた時には既に乗せられてたから...」ハッコは目を伏せた。
「心配するな。おまえの面倒は俺が見てやる」ロキの言葉を聞いて、雫は嬉しそうに笑った。
そして子猫の前、雫は得意気に言う。
「大丈夫だよ。あたしも小さい時に同じ事を言われたから」
そう大きな目をパチりとさせた。
「ねぇロキ」トトが不意に呼ぶ。
「面倒見るのは賛成なんだけどさ...あたしたちだってちゃんと帰れるの?余所の縄張りに入り込んじゃったら、街に帰れるかどうか...」
「そうだぞ。ロキ。帰れねぇなら帰れねぇなりの方法を捜さねぇと...例えばこの辺りのボスをぶっ倒すとか...」
キジは覚悟を決めたようにトトの隣で頷く。
「お話中邪魔をして申し訳ないんだが、」
バサバサと羽を鳴らしたプルが、猫達の中心に降り立った。
「ここでその話を長々とするのは危険な気がするんだが。どうだろう?外へ出て、少し離れた野原で月を見ながら今後の話をするのは...」
「なぁーにが月を見ながらだ!すましカラスめ!」
キジは悪態を吐くも、ふと気付く。
「...おい、何か聞こえるぞ...」
そう、耳がピクリと動いた。
一斉に皆の耳も危険を察知する。
ルルは子猫を咥え逃げる準備をした。
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