「仲間」

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「仲間」

「一つ聞きたいことがある。」 少し離れてから、ロキはプルに訊いた。 「雫に随分と肩入れしてるが、あいつとは一度の出会い以外で何かあったのか?」 プルは途端笑い始めると、ロキの前に立った。 「これは雫には内緒にしてくれるかい?」「ああ、おまえが言うなと言うなら...」 「私の仲間に、子供を産んだのがいてね。子ガラスがまだ飛べない時、うっかり目を離した隙に、猫達に囲まれたことがあるんだよ。仲間達は激怒し、逆襲しようとしたが...」プルは思い出すように語り続ける。 「そこへ現れたのが小さな雫だったんだよ。あんなに小さいのに、囲んだ猫達にきっぱりと言ったのさ。天敵でも小さいのに手を出すなって...ロキが黙ってないぞってね。そうしたら、猫達は皆その場から居なくなった。凄い子だよ…」 ロキは笑った。雫らしいと。 「だが今思えば、本当に凄いのは君だったのかもしれないね。雫がそうなったのは、君が面倒を見ていたからだろう?」 それは、いつもロキが雫や仲間達に言って聞かせていたことだった。 小さなものに手を出すな。 弱い者を手に掛けるな。 そして、プルが雫を助けた本当の訳を知り、いつの間にかプルも仲間の一員だと思い始めていた。 「プル...聴こえるか?」 耳がピクリと動く。 まだ小屋からは離れていたが、ロキはその音を捉える。 「悪いが聴力にはあまり自信がないものでね。で、何が聞こえるんだい?」 「...ハッコだ。鳴き声が聞こえる」 ロキは耳を四方八方動かせると、人間の足音を警戒しながらが小屋の裏へと回った。 「プル、見張りを頼む」 プルはその言葉を合図に飛び立つと、木の上に止まった。 腐ったトタンの小屋をぐるりと回ると、先ほど飛び出した隙間から中を覗く。 「...」ロキはプルを見上げ目配せすると、小屋の中へ入った。 「お、おい...大丈夫なのか?」プルは慌てて地に降り立った。
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