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第九話貴族
冒険が終わった俺たちは、
宿屋に戻ることとした。
そこでは宿屋のおばちゃんが、
いかめしい男集団に問い詰められているところに出くわすこととなった。
「いいかおばちゃん、50万ティンク、きっちりそろえてださんかい、あんたんとこの元旦那がつくった借金を基嫁が返すっちゅうのはどうだい?」
「ですから、あの人とはもう関係がなくて」
おばちゃんが必死で弁明していると、部下の1人がこちらを見た。
「上物がおるではないか、2人の生き生きとした娘さんをさしだせ」
「そこの方はお客様でして」
「なら紹介すればいいやろが」
「もし俺の姉と妹に手を出したら死ぬぞ」
と俺がいきがっていっていたのだが。
「姉さんと妹があんたらをぶちのせすぞ」
「兄ちゃんがたたかうんちゃうんかい」
というサングラスみたいなへんてこりんなめがねをかけた三人組。
「あまり弟をいじめないでくださる?」
「だったらどうするってんだい」
と三人が問い詰めてくるが。
姉は拳を固めてちかづいていって、
突然男の1人のお腹に拳がめりこむと、
一瞬の一時停止が生まれ、
次の瞬間には、まっすぐに出口のドアをぶち破って、外へと飛んでいった。
冒険者たちがびっくり仰天していたのだが、
俺としては笑っていた。
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