俺の嫌いなアイツ

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知り合ってまだそんなに月日は経っていなかったが、俺と高橋は因縁の関係になりつつあった。 因縁といえども、本気で仲が悪いとかではなく、冗談混じりの喧嘩っぽい会話をするくらいだったけど。 俺が高橋をバカだのブスだのけなして、それに対して高橋が必死で言い返してくる感じだ。 「お前、今日顔丸くね?アンパンマンみたい」 「うるさい!あんたの顔も食パンみたい!」 「今日は授業中に弁当食うなよ」 「あたしの自由じゃんほっといてよ!」 「だから太るんだよ」 「絶対痩せるもん!」 「絶対無理」 「むかつく~~」 俺はまあまあ高橋にデリカシーの欠片もないことばかり言ってた。 でも、どれも本気で言っているわけじゃない。 まぁ、高橋の顔がちょっと丸いのも授業中に早弁してたのも本当だけど。 それにしても、何を言っても本気で受け止めて全力で返してくる高橋をからかうのが、俺は楽しかった。 やっぱり俺も性格が悪いのかもしれない。
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