俺の嫌いなアイツ

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俺、長崎健人が初めて高橋美咲の存在を知ったのは、入学してしばらく経った6月頃だった。 ある朝、俺は部活の朝練が終わってからホームルームが始まるまで、教室にいた。 同じクラスであり同じ部活仲間の牧野を含めサッカー部4人で、他愛のない話をしていた。 「うちの部活のマネージャー、もうちょっと可愛かったらいいのにな。そこだけだわほんとに」 「わかるわー。マネージャーが可愛かったら俺らも頑張れるのにな」 「間違いない」 まあ、このような感じの話だ。 話の内容はまあまあクズだが、実際俺らの部活のマネージャーが可愛くなかったのも事実だった。 その時、急に牧野が「あ、高橋さんだ!」と言って廊下の方に出て行った。 残された俺ら3人は、「誰?高橋さんて」「さぁ~」なんて言いながら、廊下に出て行った牧野の方をチラチラと見ていた。 あまりガン見されてると思われたくなかったので、俺らは他愛のない話を続けながら時々牧野の方を見ていた。 牧野と会話していたのは、他クラスだと思われる小柄な女の子だった。 ただでさえ背の高い牧野と並ぶと、余計に小さく見えた。 セミロングくらいの長さの髪の毛は、少し茶色がかっていた。 はっきりした顔立ちをしていて、牧野の話に愛想良く笑っていた。 数分してから牧野が小走りしながら戻ってきた。 「みた?高橋さん!可愛いだろー」 俺らの前にある机の上に腰掛けて嬉しそうに言う牧野は、まるで自分の彼女を自慢するような口ぶりだった。 「誰?」 俺が聞くと、「最近仲良くなった!」と満足そうに牧野は笑った。 この時、俺は高橋の存在を初めて知った。 だが、この時まだ高橋は俺のことを知らなかったと思う。
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