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六月の陽が落ちかける午後六時。
遥翔は公園のベンチで夕涼みをしていた。
いや、考え事をしているといったところだろうか。
死に場所を考えていたのだ。
中学の頃からずっといじめられ続け
高校二年生になった現在に至っても、それは収まらない。
遥翔の心は擦り切れ、他人には計り知れないほど傷が深かった。
自分がもっと堂々とした人間だったらよかったのに。
常日頃からその思いが尽きない。
かけていた銀縁の眼鏡の奥から
塩辛い雫が頬を伝い滴ってきた。
遥翔「…クソッ」
涙のシミが点々と広がる自分の腿を拳で殴った。
声にならない嗚咽が苦しい。
自分には死ぬ勇気が無い。
それは周りの奴らも分かっていた。
『どうせお前はチキンだから死ねねぇよwwwww』
一度考え出すと奴らの声が脳内にこだまして収まらない。
錆のようにこびりつく奴らの気持ち悪い笑みが吐き気を誘う。
俺が死ねば少しは復習できるんだろうか。
でもやっぱり死ぬのが怖い。
遥翔「俺だって他の奴みたいに友達と笑って遊びに行ったりしてぇよ…」
高校二年生にもなって小学生みたいな願いごとを零した。
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