夕涼み

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境内に入ると参道の奥、拝殿へ向かって赤提灯がぶら下がっている。 提灯の下には色々な屋台。 的屋、金魚すくい、ヨーヨー、たこ焼き、かき氷 浴衣姿の人たち 遥翔と同じ学校の制服を着た者もいた。 辺りを見回し、一番空いている屋台を探してそこに買いに行く。 遥翔「すいません、たこ焼き一つください」 店番「あいよ!たこ焼き一つね!」 500円玉を一枚渡し 熱々の大きなたこ焼きが6個入ったパックを受け取る。 遥翔「ありがとうございます」 店番「毎度ぉ~!」 手元のパックからソースのいい匂いがしてくる。 拝殿の脇でたべようと思い移動すると そこには大量の風鈴が飾られていた。 背の高い簡単な木枠が何列にも並べられ そこに色とりどりの風鈴が夏風に揺られて涼し気な音を奏でている。 遥翔「そういえばよっちゃんとよく見に来てたっけな、風鈴」 一緒に遊んでいたよっちゃん。 彼とこの風鈴たちを夕暮れまで眺めていたのをふと思い出した。 いつも深い藍色の甚平を着ていて、 夜のように真っ黒な髪をしていた。 今でも顔を覚えている。 遥翔「…よっちゃん、元気かな」 その時 一瞬強い風が吹き、風鈴たちがけたたましく鳴り響いた。 「はる…くん?」
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