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誰かに昔の呼び名を呼ばれた。
呼ばれた方を振り向くと
そこには自分と同じ程の歳と身長で
深い藍色の甚平を着た少年が立っていた。
整った顔、真っ黒なメンズショートの髪
遥翔「えっ………よっ…ちゃん…????」
遥翔を見つめるその少年の顔は
当時の面影を残したままのよっちゃんだった。
よっちゃん「やっぱりはるくんだぁ!!」
柔らかな声と笑顔で彼は駆け寄ってきた。
よっちゃん「急に神社来なくなったからもう会えないかと思ってたよ~」
遥翔「俺も……もう会えないと思ってた…」
急な再会に言葉がうまく出てこない。
会うことのないと思っていたかつての友人がそこにいるのだから。
よっちゃん「ここ、人多いから裏の森でゆっくり話そうよ」
遥翔「そうだね」
十数年ぶりの再会
お互いに身長も声も変わってしまったけれど
面影と思い出はそのまま残っていた。
社の周りには祭りだからなのか、灯篭が灯されていた。
ここにも風鈴たちが飾られている。
二人は小川のほとりに腰をおろし
久しぶりの会話に花を咲かせた。
よっちゃん「ていうか、はるくん男前になったよね~
そのメガネ外したらもっといい男だよ!」
遥翔「んなっ…!よっちゃんこそイケメンになってんじゃんか!」
笑いながらさっき買ったたこ焼きを二人で分けて食べていた。
遥翔「…その……俺らもう高校生だし…
はるくんじゃなくて『遥翔』でいいよ…」
よっちゃん「名前は前から知ってたよ~w」
遥翔「じゃ、じゃあ呼んでくれればよかっただろ!」
よっちゃん「ん~
“はるくん”の方がしっくりくるからさ~(笑)」
遥翔「…そういえば俺
よっちゃんの名前聞いたことなかったよな…」
二人が談笑してた所へ
聞き覚えのある耳障りな笑い声が聞えてきた。
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