僕がすべきこと

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 僕はそれを見て、砂時計を使い時間を止める。蝉の鳴き声が一瞬で止み、静寂に包まれた。ゴールデンレトリバーは両足とも地面から浮いた状態で固まっている。ヨスガは僕の後ろに現れて不思議そうな顔をし、スマホを構える。  そんなヨスガを横目に 「まあ見てろって」 と言って、僕はドッグランに入る。犬の前でしゃがみこむとスマホを取り出し、写真を収める。ゴールデンレトリバーは口から舌を出し、犬歯をむき出しにして動かない。目は生き生きとしており、今にも動き出しそうだ。一般的に動物の写真を撮るのはかなり難しいらしい。しかし今の僕には自由自在だ。アングルも構図も好きなだけ吟味して好きなように撮ることができる。スマホのカメラでもブレることはない。  一通り撮影を終えて、僕はヨスガを見る。スマホを構えたまま僕を見つめるその顔が少し笑っているように見えた。 ☆☆☆  時間を止めたままドッグランから出て、僕はそのまま公園を散歩した。不思議な心地がする。さっきまであれほどうるさかった公園が今は物音ひとつしない。僕とヨスガが歩く足音だけが響いている。  公園を歩いていると様々な発見があった。人はもちろんのこと、鳥や虫までも静止した公園はどれだけ歩き回っても飽きないような気がした。僕は写真を撮りながら、時間の止まった公園を満喫した。鳥や蝉にありえない距離まで近づいてみたり、噴水の水滴の真下で水滴越しに太陽を見つめたりした。
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