ご主人様を救え!~ミー~

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ご主人様を救え!~ミー~

翌日の朝、私たちは家を出た。 訳はゆあんちゃんの病気を治すため。 ゆあんちゃんが病院に入院してしまったから心配していたんだけど、仲良しの猫のポチがすごい情報を手に入れた。 なんでも、ゆあんちゃんパパが 「ゆあんの病気を治すにはもふもふしたものが必要だ。」 とゆあんちゃんママに言っていたのを聞いたんだって。 よーし、と私は決心した。 必ず「もふもふしたもの」を手に入れて、ゆあんちゃんの病気を治して見せるわ! というわけで今朝早くに私とポチは家を出たの。 「で。」 私はポチに言った。 「もふもふしたものって、どこにあるの?」 ポチは、 「あっ、急がないとご主人様の病気が治んなくなっちゃうかもよ!」 と言ってかけだしていった。 フンだ! 犬と猫とはいえ、長い付き合いで私が何を言ってるかくらいわかるくせに。 ごまかそうとしてる気持ち丸出し。 まあ、そこが面白いんだけど。 「わーーーーー???」 突然、ポチの声が聞こえてきた。 「ポチ!?」 急いで走っていくと、ポチが巨大なビルを見上げて座り込んでいた。 「何よ、ただのビルじゃない。」 「ただじゃないよ、こんなおっきいビル見たの初めて!すごい!」 「私はゆあんちゃんと散歩するときにいっつも見てるけど。」 「えー?ミーこんなビルの前通ってるの?ずるい!」 ポチがニャオニャオ鳴き声をあげるけど、私は無視。 「散歩くらい、ポチだってしてるんじゃないの?」 「することにはするけど、ミーみたいにフリスビー投げてもらったりはしないもん。」 すねたようなポチに、私は言う。 「えー、ポチもフリスビーやりたかったの?猫なのに?」 「猫がフリスビーしちゃいけないなんて決まり、あるの?」 ポチがむすっとして言い返す。 ヤバ、ちょっと言い過ぎたかも。 「えっと。それよりほら、今はもふもふしたものを探さないと。」 その言葉にハッとして走っていくポチ。 ……あ~あ。 私はため息をついた。 犬って普通はもっと人懐っこいはずなのに。 どうして私って、素直じゃないんだろう。 ポチは面白いし、可愛い。 近所には仲良くなりたい犬がたくさんいる。 なのについぶっきらぼうになっちゃったりする。 今だって謝ろうと思ったのに、話題を変えてしまった。 無理やりごまかしたみたい。 やだな……。 ポチじゃなくてご主人様なら、 「ご主人様、大好き!」 って、素直に言えるのに。 私って友達作り下手なのかな? ポチとは、物心ついた時からずっと一緒にいた。 人間で言えば幼馴染って感じだ。 仲良かったのに、最近、一緒に遊ぶことも少なくなったような気がする。 やっぱり、私が冷たくなったからひいてるのかなぁ? 今でも、私のことを友達って思っててくれたらいいのに。 う~、ポチの心の中なんてちっともわかんない!
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