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職員室の騒ぎを聞きつけ、こちら側に向かってくる影があった。
「二階堂先生、受け入れがたいのは分かりますが、由樹君が優秀な事は事実です」
竜が、二階堂を宥めるように言った。
「校長!…しかし…ッ…」
二階堂は、悔しそうに顔を歪めていた。
「はぁ…仕方がないですね。二階堂先生、この場で貴方が問題を出してみてはどうですか?由樹君がその場で答えれれば貴方も認めざるを得ない。貴方は、由樹君を邪険にしているので、由樹君が分かりそうな問題は出さないでしょう?」
「…ふっ、当たり前です」
竜が提案すると、二階堂は嬉しそうに乗ってきた。
「俺に利益は無いからな。…おっ!俺が全問正解したら二階堂先生の愛娘とデートな」
由樹は、ニカッと笑いながらそんな提案をしてした。
「…っ…な…なんだそれは、お前何ぞに彩香とデートさせてかるものか」
二階堂は、顔を真っ赤にして怒っていた。二階堂にとっては、愛娘が地雷となっていた。由樹は、それを知っていてわざと刺激した。
「決まりだな、俺の方はいつでも良いぜ」
そんな訳で、職員室で二階堂による由樹のテストが始まった。
現代文、古典、数字、物理、化学、生物、世界史、日本史、地理、現代社会、倫理、保健、家庭科、英語、フランス語、雑学…。
煌柳高校では、習わない所まで問題に出して来たが、由樹は難なく回答していった。二階堂は、由樹が正解する度に苦い顔をしていった。
職員室に居た先生達は、二階堂先生が意地悪な問題を出す度に憐れんで居たが、由樹が正解する度に感心していた。流石、学年首席と認めざるを得なかった。
「…っく…何でこんな奴が全て正解出来るんだ…ハァハァ…」
二階堂は、難しい問題を出そうと頭をフル回転させ過ぎて疲れが見えてきた。
「勉強してれば答えられるだろ。もう終わりか?」
由樹は、当たり前の様にスラスラと答えていた。
流石、煌柳高校の理事長なだけある。
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