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煌柳高校は、静かな山奥に建っている。山奥の何もない所なので、全寮制の学校だ。広い敷地の中には、お城のような校舎が2つ、特進科と普通科に別れている。校舎の真ん中には、寮が建っている。
寮から校舎までは繋がっている為、特進科と普通科の生徒は顔を会わすことはない。勿論、寮も別れている為全く会うことはない。会うとすれば、昼休みにオープンしているお店や学校行事で知り合う位だが、生徒が向かう場所も必然的に分かれている。
興味本意で普通科の生徒が特進科の生徒に近付こうと試みるが、大半は周囲のオーラに圧倒されて知らず知らずの内に後退ってしまう。特進科の生徒は、同じ科の生徒にしか興味は無く近付こうとも思わない。
その中で、彰は普通科の方を選んで入学した。彰の家は、老舗旅館であり普通に考えれば特進科に入学出来たのだが、彰はあえて普通科を選んだ。何故なら、付き合いが面倒だからだ。
特進科を選んだ方が、旅館を継ぐ上での人望を築けるがそれをしなかった。彰の両親も、学校さえ通ってくれればどちらでも良かった。煌柳高校を卒業すると周りから一目おかれるのだ。
彰は、ゆっくりと歩き寮にたどり着いた。
寮に着くと、特進科と普通科の生徒の入口は別れていた。特進科の生徒は、車で送迎の為玄関前がロータリーになっており、外からは誰が出入りしているのか見えなくなっている。そして、周りには警備員が2人いる。普通科の生徒が騒ぎを起こさないようにだろう。普通科の生徒は、歩いて入れる玄関になっており、彰は足を踏み入れた。
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