天誅

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天誅

その惑星は「アドリム」 かつて現代では考えられない知識と技術によって、栄えたという文明時代があった。しかし、その時代は、突然として「アドリム」から姿を消していった。 世にいう「アパネネ・ストレス」。かつてこの星を統治していた、2つの大国が争い。傷ついた惑星は、地殻変動、天候不順などの天災を起こし、飢饉・疫病など、世は大混乱になってゆき、これまでの統治が困難になった2つの大国は、災いを逃れんと姿を消していった。 残された生命は、抗い続け個体の進化、新種の誕生を繰り返した。また形態変化や他種との混合を繰り返していった。そして、弱肉強食の時代へと、移る。 「アパネネ・ストレス」以降、道具も常識も通じなくなった人類は、一時期滅亡まで1歩と迫ったが「アニマ」という能力に目覚め、衰退していく運命から翻しかつての栄光を取り戻さんと、繁栄を繰り返している。 #洲番城__すはじょう__# 城といっても、城などがある訳ではなく、#国人__くにびと__#・#守人__しゅじん__#・#城人__じょうにん__#・#衆人__しゅうと__#と呼ばれる、町の管理運営を行う家の事を言い、領地の大きさを言う。一つの町村管理を衆人。5つで城人。10で守人。30で国人となっていく。統治権力の象徴として、城人は屋敷・守人は城・国人は館を持つ。しかし、ここ洲番城は、今は難民による人口が増加にともない。略奪・暴行・人売りが横行し、町は大混乱をきたし、町には遺児・浪族・妖怪が蔓延っている。 そんな街中から、身なりの悪い浪族集団が、商家を襲撃。家財や商品を強奪、荷車にて逃走。 「へっへっ、こんなにも貯め込んだ商品があるんだ。俺らがちゃんと使い切ってやるよ」 浪族は街中を逃走して行く。道を歩く人は、浪族の恐ろしさにわれ先と、家の中へと逃げて行った。民衆の服装としては、着物と腰に帯、男性は太ももまでの長さの丈。しかし、女性は上羽織りに、足首までの丈まで、着物に巻かれている。必然的に女性は逃げ遅れて、攫われていくのが、後を絶たなかった。今回も逃げ遅れた、女が足をもたつかせていた。 「きゃきゃ、上玉じゃが・・・#女子__おなご__#は高く売れぜぇ」 主犯の合図と同時に、2人が女性に襲いかかる。一人は羽織と着物の上から細い腕を鷲掴みて、引きよせ羽織を女性に巻き付け、視界や動きを封じ。もう一人が、動きの止まった女性の両足を掴みかかり、持ち上げ。荷車に運び込む。 「きゃっぁぁぁ、離せぇ、離せ。いやぁぁぁ」 女性の助けを求める儚い声も空しく、民衆はただ見ているだけで、動かない。すると、屋根の上に汚れた刀を持った、小さな男の子の影が映った。男の子は自分よりも長い刀を持ち上げて、襲いかかろうとした瞬間に、浪族の荷車の前に、若い男性が立ち向かった。 「なんだ、こいつ?」「どけぇ、野郎に興味はねぇ!殺せぇ」 威勢の良い浪族が、地べたに倒れて顔に、足を載せ踏みつけられていた。 「ま、待て。あんたも浪人やろ?食うのに困ってるなら・・・仲間にならないか?そんだけ強ければ、酒池肉林。楽しめるぜ!」 うつ伏せになり、顔を踏みつけられても、浪族は男性を仲間に誘った。すると、男性は踏みつけていた足を上げた。浪族は、笑みを浮かびあげ、顔を上げる。が、今度は正面から地面に、顔を深く打ち付けた。 「悪いが、族になる野望など、持ってないでな」 男性はいい付けた後、何度も何度も踏みつけて、道に穴が開くほどに、浪族の顔を深くめり込ませた。それに、見かねたほかの浪族は、逃げるものもいたが、怒り男性に襲いかかるものもいる。 「おれらは、こうするしか食ってけねぇんだよ」 しかし、男性の前に圧倒される。荷車から女性を降ろし、商人のもとへと行く。商人や民衆は、膝をつき頭を下げながら、お礼をする。 「財を取り戻していただき、有り難く存じ上げます。お礼と言っては何なのですが・・・」 「お礼は、結構。では」 そう言って、人前から立ち去うとするが、先ほど浪族に捕らわれていた女性が、詰め寄り話しかける。 「ねぇ、うちに来てくださらない?」 「結構」 女性の誘いをも断り、若い男性は人々に見守られながら、民衆の前から去って行った。 浪族を成敗後、男性は洲番の屋敷の中で、お辞儀をしていた。すると、その前の座布団に腰を下ろす者がいた。その者は、男性に話しかけた。 「表を挙げよ、よくぞ参られた。#桜火__おうか__#よ」 さきほどの町通りにで、浪族退治をした若い男性。名を桜火。齢18。9歳のころより国人の練兵所へと移り、文武に励んだ。その後各地を巡ってきた。 「お久しゅうございまする。#秀桃__しゅうとう__#さま」 秀桃。#知尾__ちび__#地域をまとめる城人。支配町村は5つとギリギリ、さらに河川や海に近く湿地帯の多さで、作物収穫量も少ないが、河口沿い並ぶ港町を商業特区として栄えさせた。このことにより、金銭では国人並みに。食糧も地方との貨幣取引により、まかない。町を繁栄発展させている。 「そなたには、治安と教育を頼みたい」 「治安と教育ですか?まったく別ものですが」 「それが実は、別では無い!この町には、親や身元の無い遺児がたくさんいる。こいつらは、町のあちこちからねずみや虫のように、現れては盗みを働き、町を荒らす。こういうものが、町の発展を妨げ、将来族として、また荒らす。そうではなく、こいつらを指導・教育・鍛えさせて、我らの将来をになう人物に仕立て上げたいのだ!良いな?」 「は、お任せを」 その頃、洲番城の北東はずれに大護山という小山がある。標高は78mと平地には高く見晴らしのいい山だ。そんな山道を歩く、昼間の男の子がいた。山道を歩いていると、先には古びた廃屋がある。そこには、無数の子供たちがいて、男の子に声をかけた。 「あ、おかえり。#綾__りょう__#」 この綾が、この物語の主人公である。 満天の月が世を照らしている、真夜中を歩く姿があった。昼間の青年の桜火だった。桜火は、灰色の髪に、灰色の着物をまとい。腰に刀を腰抱えている。昼間とすこし違い周りに気を配りながら、町通りを歩いていた。 「・・・荒くれ者が、夜という考えは、古いのかな?」 桜火のつぶやきに、呼応するかのように浪族の集団が、桜火を取り囲んだ。 「昼間は部下が、お世話になったなぁ!たっぷりとお礼をしてあげなくては」 「はぁ~おれが用事あるのは、オヤジじゃなくて、ガキの方なんだがなぁ・・・」 「なにごちゃごちゃと、訳のわからないことを言ってやがる。みなやっちまえ!」 頭の掛け声の下、浪族集団は一斉に、桜火へと襲いかかった。背後から刀が斬りかるが、体を少しずらしてかわし、男の背中に掌底を打ち込む。気を失った男から脇差を、抜き取り。襲ってくる槍先を切り落とし、違う男に投げ刺す。そのように、体の動きを巧みに使いこなし、浪族を次々と倒していく。頭も含めて残り3人・・・2人となって、最後の部下を倒された瞬間、ものすごい轟音とともに、桜火の右肩が貫通した。右腕は、線が切れたかのように宙を垂れ落ちた。 「へっへっ、ざまぁねぇな・・・あぁこんなにもやってよう・・・まぁてめぇは、終わりだ」 桜火の首へめがけて、刀が空を斬り裂く。しかし、刀は首に届かず、右手に掴まれて止まっていた。 「ぐぅ・・・なぜっだ!撃たれたのに、なぜまだ使える?それにわしの両手を、貴様の片手で止められると!」 すると、桜火の右肩に空けられた穴が、煙を出しながら修復していった。 「ひぃ、きさまぁ。人間じゃぁ・・・ないな・・・」 頭は、驚くと刀から手を離し、すぐさま桜火から逃げ出した。桜火にも目もくれずに、一心不乱はしる。すると、頭の額から刀が突き出してきた。それから頭は、ずるずると地面に倒れた。刀を投げ終えた、桜火は着物に空いた穴を、見て。「直さなくては」とだけ、言ってその場を立ち去った。 それから2時間後、死んだはずの浪族が、起き上がり身ぐるみを、脱ぎ始めた。そして、一か所にまとめてからまた地面に倒れた。 「よし、#稟__りん__#、おつかれ!」 紋の一言により、脇道から子供たちが、飛び出してきた。紋、汚れた着物に腰ひもを巻いた、男の子。子供たちは、まとめてあった浪族の身ぐるみを、すべて運び込んでいった。火縄銃をもっている紋が立ち止っていた。 「どうしたんだよ、紋?行くぞ」 立ち止っていた紋に、2人の子供が呼びとかけた。 「・・・」 呼びかけに応じない、紋に白蓮が蹴り倒した。 「・・・痛、痛てなぁ!何するんだ、#白蓮__はくれん__#?」 「こっちは、重い荷物を持っているんだ!さっさと歩け、それにもうすぐ夜明けだ。大人も来るぞ・・・」 白蓮、サラッとした黒髪が特徴の男の子。 「悪い」 「どうした?屍でもみて、ちびったか?」 #千年__ちとせ__#、赤目の男の子。いつも一歩上におることが、多く。今回も木箱に座りながら、紋と白蓮を待っていた。 「ちげぇは」 翌朝、浪族たちの死体は、民衆の曝しものとなった。それは、全裸で「天誅」と、体文字を描いていたからだ
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