2 ドラゴンの瞳を持つ王子

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「はあ……っ、もう、いいか?」  ミサキがアレクセイを見上げると、彼も快楽に酔いしれているのが分かった。そして、今彼はミサキのナカに精を放つことを渇望している。  ただ、互いの役割を果たすための行為だ……なのに、ミサキはそれを心の底から望んでしまっていた。ミサキが腕を伸ばすとアレクセイはその手に触れ、きゅっと指を絡める。 「も、イクから……きてぇ」 「ああ、いい子だ……」  アレクセイはそれからニ、三度最奥まで腰を押し付けた。ミサキは告げるように言われていた『あの言葉』を叫びながら……快楽に震えるまま、アレクセイの肉棒を強く締め付けた。 「あ、や……も、イク、イクの……やぁああっ!」 「……くっ、はあ……!」  奥にこすり付けたまま、アレクセイはミサキのナカで精を放っていた。ビクビクと屹立が震え、奥底まで精を届けようと勢いよくミサキの子宮口に降りかかる。その僅かな刺激なのに、ミサキはまた小さく「イク」と囁きながら、背を反らしていた。  その仕草を見て、アレクセイは笑い声をこぼした。 「俺の精を受けるだけでイクとは……随分と淫らな女になったものだな、昨晩まで処女であったとは信じられん」  溜まっていた全てを放ったアレクセイは、力が抜け始めた彼自身をゆっくり引き抜いていく。 「ふあぁ……」 「そんなに良かったか?」    その言葉に、ミサキは朦朧とする意識の中でおずおずと頷いていた。そして、ゆっくりと目を閉じて……意識が遠のいていくのを感じる間もなく、くったりと眠りについていた。 「体力のない奴め」  これでは、一晩中情事を楽しむ事が出来ないではないか、とアレクセイはひとりごちた。そして互いの白く濁った淫液で汚れたソレを手拭きで軽く拭い、仕舞う。大きくため息をつくと、体中にだるさが残っている事に気付いた。  他の女を抱いた時は、いつも体が軽かったはずだ……それなのに、この女を抱いた時は、前回も体の力を根こそぎ奪い取られるようなだるさを感じる。  アレクセイは、ぐったりと横たわるミサキの衣服を簡単に直し、そのまま横抱きにして立ち上がる。抱き上げたにも関わらず、ミサキは深い眠りについている様子で全く気が付かない。  少し遅い歩みで、アレクセイは温室から出ていく。ミサキの寝室に向かうためゆっくりと進んでいくと、前方から違う足音が聞こえてきた。 「これはこれは、兄上ではないですか」  銀色の髪をなびかせ、ミハイルが暗がりから現れた。ミハイルはアレクセイの爪先から頭の先までまじまじと見つめていく。特に、衣服が乱れたミサキの様子は念入りに。 「ああ、申し訳ございません。花嫁を俺一人で楽しんでしまっていて」 「それは別に構いません。あなただって、花嫁を抱く権利があるのですから」 「そうですか、それは良かった。……しかし、これでこの女が俺の子を孕むかもしれませんよ」  アレクセイの口元に、笑みが浮かぶ。それは先ほどまでミサキに見せていた余裕のない表情ではなく……相手に対する悪意がにじみ出るものだった。 「それはないですよ、アレクセイ」  ミハイルは、アレクセイの横をすり抜けていく。その時、きっぱりとこう言い放った。 「その彼女が孕むのは、私の子です。魔王を継ぐのはこの私ですからね」
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