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思わず彼の首回りに手をまわす。
これはもはや、心を許したサイン。
惑わされる、彼の甘いキスに。
「いい子。
たくさん甘やかしてあげるからね」
ベッドに運ぶなり、私に覆いかぶさる彼。
綺麗な顔が視界に映る。
「悠も、私が浮気相手…?」
途端に怖くなった。
私はまた、遊ばれているんじゃないかって。
「違うよ、本命。ずっと好きだった、咲のこと。
だからもう離してなんかやらない」
豹変した彼の手が、優しく首筋をなぞる。
その手はだんだんと下におりていき、慣らすようにして私に快感を与えた。
「啼き声を変えてみようか、咲。
俺だけに、可愛い咲を見せて」
彼の愛情表現は、少しずれているけれど。
そんな彼に身を預ける私の心はきっと、揺れに揺れ動いている。
「ゆ、うっ…」
余裕のない、自分の甘い声。
全部、悠に任せてしまいたいと思った。
たとえこれが流されているのだとしても。
「やっと、捕まえた」
彼の標的になってしまったからには、もう逃げられないから───
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