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甘い言葉も、優しい言葉も全部嘘だったっていうの?
ただの遊び相手だなんて。
そんな簡単な言葉では許されない。
キスだってしたし、体だって何度も重ね合わせた。
もちろん私の知らない“浮気相手”として。
「……っ」
自分のバカ。
騙されていたことに気づいていなかっただなんて。
本当にバカ、馬鹿野郎。
「───咲?」
合コン場所であるカラオケに着いたその時。
低い声が、私の名前を呼んだ。
思わず振り返ると、そこには幼なじみの悠の姿があった。
最後に会ったのはいつだろう。
大学を卒業した四年前が最後だっただろうか。
四年の月日とは恐ろしいもので、もともと容姿の良かった悠が大人の雰囲気を併せ持ち、さらに成長していた。
これはモテるし彼女もいるなと確信したけれど、問題はどうして悠がここにいるのかということだ。
「あ、悠志くん!
もうみんなはきてるの?」
「……え?」
疑問を持つ私を他所に、友達が親しそうに彼に話しかける。
「うん、揃ってるよ。
今日はこの三人がメンバーなの?」
「そうだよ!この子は彼氏にフラれて落ち込んでるから、悠志くん慰めてあげて?」
「あっ、余計なこと言わないで!」
きっとこの子に悪気はないけれど。
幼なじみの彼にフラれたのがバレると、少しだけ恥ずかしい。
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