溶かされゆく理性

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「へぇ、それは可哀想なことがあったんだね」 先程、明らかに私の名前を呼んだというのに。 悠は突然初対面のように接してきた。 けれど友達二人は、悠が私の名前を呼んだことに気づいていないらしく、そのまま初対面の設定を貫いた方がいいのかなと思ったから何も言わないでおいた。 それから中に入り、始まる合コン。 幸い、男たちはまともそうで安心する。 ちゃんとした会社で働いており、そこそこ稼ぎも良さそうだ。 その三人の中でも悠が一番目立っており、輝いていたのだけれど。 「大丈夫?」 合コンが始まり、いくつか話した後にカラオケを歌い始めるみんな。 そんな中、私だけ温度差を感じ、隅の方にいるとすぐに悠はやってきた。 心配そうな顔。 忘れていた、彼はとことん優しい性格をしているのだと。 「……大丈夫」 今甘えたら泣いてしまいそうで、無理を装う。 四年ぶりの再会だというのに、暗い顔はしてられない。 「ほら、無理しない。 辛いなら抜け出す?」 「え、もう?」 それはさすがに失礼だ。 せっかく友達が用意してくれた場なのに。 「策はあるから」 「え…」 そう言うと、突然悠の手が私の腰にまわされた。 思わずビクッとしてしまう。 こんな風に触れられるのは初めてで、戸惑ってしまう私。
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