溶かされゆく理性

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「そっか。 じゃあゆっくり話でもしよう」 悠はそう言って優しく笑い、自分の隣に座るよう誘導する。 やっぱり優しい彼。 高校の時、彼氏と喧嘩したり別れそうになるといつも相談に乗ってくれていた。 男の気持ちがわかるという悠に、私はずっと頼りっぱなしだったのだ。 それは大人になった今も変わらないだなんて恥ずかしいけれど、今回も私は悠を頼ってしまう。 「四年ぶりなのに、悠は変わらないね」 「そうかな。咲も変わってないよ」 「私も?」 「すぐ泣くところ」 「ま、まだ泣いてない!」 少し悠を睨むけれど、彼は穏やかに笑うだけ。 それからたくさん話をした。 最初はお互いの近況から。 仕事の失敗談や成功談、友人関係。 そして最後は元カレのこと。 「咲、辛かったね」 全てを話し終えると、悠は私の頭を優しく撫でてくれた。 温かい手。 昔と変わらず大きな手が、私の頭に置かれる。 「……好きだったのに、私……こんなにも、彼のこと」 「たくさん泣いていいからね。好きなだけ、泣こう」 涙がじわりと目に浮かぶと、彼は私をそっと抱きしめた。 あっという間に彼の腕に収まる私の体。 「悠…」 「我慢してるのバレバレだよ」 優しい声音。 涙腺が緩くなっていくのがわかる。 結局私は彼の腕の中で、落ち着くまでずっと泣き続けていた。
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