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「思っていた通りだ」
「え??どういう事ですか??」
「それはお嬢ちゃんのものだよ」
「まったく意味がわからないんですけれど…」
「まぁ。そのうち解るさ」
お婆さんはまた優しく笑うと、その髪留めを私の髪の毛に付けてくれる。少しだけ編みこんでそこに髪留めを付ける。
「あら、とても良く似合う。栗色の髪の毛に綺麗に引き立つねぇ…」
「そうですか??ありがとうございます」
私はそう言いながら自分の鞄から手鏡を取り出して自分の姿を確認した。確かに可愛い。自分が可愛いとかそういった事じゃなく、髪留め…が…だ。
「まぁ、なんにしろ良かったよ。持ち主が見つかって」
「はぁ…」
「お嬢ちゃん。これからもしかして何か起こるかもしれないけれど、その髪留めが必ず護ってくれるからね。そして鍵は必ず肌身離さず付けておきなさいよ。危なくなったらその鍵を使うんだよ」
「は…はい…」
私は訳もわからないままそう頷くと、お婆さんをもう一度みた。するとお婆さんは私が手にしていた鍵をいつの間にか持っていて、緑の石が下がっている鎖に鍵を通してくれると、私に渡してくれた。
「はい。どうぞ。持って行きなさい」
代金の事とか色々と気になる事はあったけれど、本当にこのお婆さんは善意でやってくれているようだ。これ以上お金がどうとかそういった話がしたくない。そう思った私はそのままお礼を言ってその商品を受け取ると、「また来ます…っていっても今日で閉店なんですよね??」と問いかけた。するとお婆さんは笑い、「必要であればまたどこかで会えるかもねぇ…」と言った。私はコクリと頷くと、お店を後にした。
入って来た時のようにノブに手を掛けてゆっくりと回す。カチャリと音がし、扉を押すとギギギと乾いた音がした。そしてお店を出る。お店は入って来た時と変わらずその場所に佇んでいる。まるで周りの時間が止まっているかのようだ。私はもう一度お店の外観を確認すると暗い路地を通っていつもの通学路へと出た。
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