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【ケンタウロスの森】 五日目・2
洞窟を出て、まずはお土産にする木の皮が取れる昨日の場所へ行った。
さてどうやって持って帰ろうかと考えていたらアレクがまたもやバナナの葉もどきを取ってきてくれた。
バナナの葉……森に入って何回目の登場だろう。アレクは端に切れ目を入れ、葉の表面をピリリ……と剥しはじめ、全て剥がれた表面は薄くてラップみたいになった。あれ、シーナちゃんがくれた皮を包んでたやつ、これと一緒じゃないかな。ずっとカバンに入れて持ち歩いてたけど匂いも漏れなかったし、ラップ代わりにかなり便利だぞ。バナナの葉、万能だ。アレクさんに庭に植えたいって言ったら街じゃ育たないんだって。残念。
皮を木から上手に剥し、蜜を零さないようにラップもどきの薄皮に乗せて巻く。これはシーナちゃん、これは皆さん、これはうちの分。
「うちの分?……トモくんは森を抜けたらきっと食べられなくなるよ」
「うん。自分へのお土産じゃなくて、アレクの常備品。食べたいときに食べていいからね」
うちに皮は見当たらなかった。アレクは僕が臭いを嫌がると思って置いてなかったんじゃないかな。知らなかったとはいえ、我慢させてなかったならいいけど。
「トモくん……ありがと」
チュッ
ふふっ。僕はアレクが髪にしたキスがくすぐったくて首を竦めて耳を回した。
すべての梱包が終わって、手に付いた蜜のべたべたを舐めた、ら……あれ?
あんまり美味しくない……いやそれどころか不味い……それに昨日まで黒蜜みたいにツヤツヤで美味しそうだったのに今見たら樹液のようなヘドロのような……ばっちい……
「うわーん。アレクー」
アレクに手を差し出すと、察してくれたアレクが僕の指を舐め取ってくれた。
もう魔法が解けかかってる。あの至高のぷるぷるじゅわーっがもう食べられない。悲しくてアレクのお腹に抱きついて少し泣いた。
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