605人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
さて、朝食を食べたら洞窟を出発だ。森を抜けるのは時間が掛かるし、ケンタウロスさん達のコミューンにも行きたいからね。
またもや寝てたので主にアレクが用意してくれたご飯をいただきます。今朝は蒸し焼きが中心でした。バナナの葉もどきで巻いた擦り芋はほっこりモチモチに蒸し上がっていたし、付け合わせの野菜も酸味のあるソースでさっぱり食べれて美味しかった。鳥肉はぶつ切りにして甘辛いタレをかけて串で直火焼き、分厚い葉野菜を巻いてシャクシャクもぎゅもぎゅ。朝からがっつり大量に用意してあったけど筋肉質のアレクさんにはそれが普通の量で、僕もお腹が減っていたから二人でぺろりと平らげた。
仕上げのデザートはシーナちゃんがコミューンで渡してくれた木の皮。
蜜は乾燥してカピカピになってたけど、これはこれで表面がカラメリゼのように甘いコーティングになっていて、ふむ、悪くない。口の中で飴みたいにコロコロ転がして甘さを堪能したあと、硬いままの本体は酢昆布みたいにクチャクチャとしつこく噛む。うむ、美味!
どこかのグルメ番組のおじさんみたいな事を思いながら堪能してアレクにお願いをした。
「アレク、帰りに木の皮があるところに寄ってくれない?シーナちゃんにお土産としてあげたいんだ」
シーナちゃんは自分の保存分を僕にくれたんだ。僕だったら勿体なくて他人に分けられないよ。だからお返しにトロリと蜜がついた新鮮な皮を渡したい。
「あ、皆さんへのお土産もそれにする?それとも食べ物じゃない方がいいかな」
「みんなも皮は嬉しいよ。ケンタウロスの森とはいえ、ここはコミューンから遠く離れてる。皮だけの為にここまでは来ないんだ。蜜だと特に頻繁には口にできないから、きっとみんな大喜びすると思う」
良かった。
皆さんへのお土産も決まった事だし、そろそろ行きますか。
僕たちは荷造りと軽い掃除をして洞窟をあとにした。
最初のコメントを投稿しよう!