0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
100年生きている
健康なままで、死ぬことのない奇病。
俺は、この奇病のおかげで、もう100年は生きている。
奇病にかかったと宣告された20歳の外見のままで。
だが、中身は100歳を過ぎた老人だ。
俺の病気を診ていた医者は、何十年も前に亡くなった。
俺の奇病を聞きつけて、研究したいという医者はいくらでもいる。
奇病を治すというよりは、『不老不死』の研究材料として。
そんな医者達の研究材料になっても、俺には一円の得にもならない。
俺の身体を、いじり回されるだけ。
ある医者が、俺や家族の遺伝子を調べたことがある。
しかし、俺の遺伝子の中には、不老不死の遺伝子は見つからなかった。
学生時代からの友人は、みんな亡くなっている。
結婚して子供もいたが、妻も子供も亡くなっていて。
孫がいるが、今は見た目だけなら俺の方が孫に見える。
この奇病のせいで、俺は孤独になった。
生活のために働いてお金を稼ぎ続けて、病院では身体をいじり回される。
100億円くらいの貯金があれば、働くストレスからは解放される。
俺の奇病からすれば、解放されるのは『短い』期間かもしれないけれど。
終わりがなく、いつまでも続くのかと思うと死にたくなるが、死ぬことすらできない奇病。
この奇病が売れるならば、100億円くらいになるだろうか?
最初のコメントを投稿しよう!