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ハァハァハァ…。
とりあえず拘束を放してもらい、お互い床に正座してクールダウンをした。
「はい。もうバレちゃったのでサクサク話を進めまーす」
唯一、机に足を組んで座っている律が司会進行を始めた。
「一応確認しますけど、桐生君は書記様にボコられた仕返しに追いかけてきたわけではないですよね」
律テメェ…。仕返しじゃないって100%確信した顔で笑ってんじゃねぇよ。
「そんなわけない!俺は…俺、は…。その…あの無邪気な笑顔を見てからずっと、側で守ってあげたいと思い続けていた」
ボコられたのに?
ボ コ ら れ た の に ? ?
「去年までの俺は家庭の問題でムシャクシャして全てに無気力だった。そんな時、モノケロスと出会い、あの無垢な笑顔に心を救われた」
無実の罪でボコられたのに救われたなんて、彼はドMなのかな。新しい扉を開いたからとかじゃないよね。
「あんたが桜導に行くと知り、俺も志望校に決めた。親に頼み込んで家庭教師もつけて必死に勉強した。モノケロスの情報を知りたくて受験と並行して夜の街であんたに関わったというヤツらを1人ずつ潰して話を聞いてまわった」
「微ストーカー気味だねー」
「モノケロスと出会ってから、学力も向上、喧嘩も強くなり、身長も伸びた。今まで接し方が分からず距離をとっていた家族とも、桜導の受験をキッカケに和解して円満に。合格が決まった時なんて両親は泣いて喜んでくれた。家族が円満になったおかげか親父の会社の業績もアップ。俺にとってモノケロスは、本当に幸運の天使だった」
「新聞の折り込みチラシとかで見る風水のブレスレットみたい…」
「お前、本当にストーカータイプに好かれやすいな」
「いや、まだ悠斗しかいないじゃーんww」
クソでか溜息の律。なんww
「お前さー。盗聴器つけられたり行く先々で出待ち食らうのも中々のストーカーだぞ」
盗聴器なんて律ぐらいしか付けないっしょww他に誰かつけてきたっけ?ww怪しいヤツのはちゃんと潰して自衛してるけど。
最近エンカウント率高いの倉知パイセンぐらいしかいないし…。俺が気付いていないだけで誰かいんの?
「マジかよ。お前もうアイツに処女掘られちまえ」
嫌 で す よ ! ? てかアイツって誰!!?
「でも桐生くん、優しそうだし言動はストーカーっぽいけど、悠斗ほどじゃないから安心?だねー」
「アホ。桐生はある意味、悠斗よりヤベェぞ」
「どこが?」
「例えばお前の脱ぎたてのパンツが落ちているとする。『もうっ!私がお世話しないとダメですね』と喜んで洗濯をしてアイロンまでかけるのが悠斗。何に使われるかわからない、むしろナニに使われる可能性があるのが桐生だ」
何で脱ぎたてパンツ?
まぁ、パンツぐらいなら許容範囲じゃんww俺に危険がなければwww
「念のために聞くけど、俺を守りたいってことは桐生くんはオオカミにならないってことだよね?」
「え!?」
ストレートに聞きすぎたww桐生くんは下ネタ系が苦手なのかキョロキョロと挙動不審になったかと思うと、真っ赤になって両手で顔を隠した。
「〜〜〜〜〜〜っオオカミになりたいっす」
あー…なりたいんだー…。
「アデュー!」
ファッション不良で、ピュアで、ストーカーで、オオカミなんて設定盛りすぎでお腹いっぱいだから、後は律に任せて窓から逃げた。
『無理強いはしません!』とか叫んでるけど…当たり前じゃボケ!!
つくづく王道とはそれていくなぁ…ショボーン。
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