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「さぁ書記様。そろそろ親衛隊の会合が始まります。視聴覚室に急ぎましょう」
「…ん」
口数の少ない黒髪の青年を連れて部屋から出ようとする柔らかな髪色の少年の前に、圧倒的なオーラを放つ赤髪の青年が遮るように立つ。
「おい、ついこの間も会合とか言ってたな。他の親衛隊より多くないか?純粋なコイツを丸め込めて無理矢理お前らの都合で振り回してるんだろう」
「いえそんなことは。会合と言いましてもお茶会みたいなものですし、これは毎回書記様が会合の終わりに次の予定を立てられていますので…」
「フン、どうだか。お前ら親衛隊はどうせいかがわしい目でコイツのこと見ているんだろ。信用ならん」
お前が一番いかがわしい目で見てんだろ、という言葉を飲み込む少年。
綺麗系チワワとして学園に認識されている自分のキャラを保ち続けている彼は、ちょっとのことで乱されることはない。
「…ちがう…かいちょ…メッ」
口下手な青年は、自分の親衛隊隊長をかばうように前に出た。
「今日は…あんこの日…」
たぶん、会合と言う名のお茶会で出されるオヤツのことを言っているんだろう。
表情は乏しくても目がキラキラしている彼に毒気を抜かれ、苛立ちが収まる赤髪の青年。
「…そうか。悪かったな、まこ。でもいくら自分の親衛隊だからといって油断するんじゃないぞ」
同じ生徒会のメンバー(しかも長)でさえいかがわしい目で見てるからな!と心で中指立てている親衛隊隊長。
これが表向きの日常である。
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