全力鬼ごっこ

2/9
前へ
/164ページ
次へ
書記+書記親衛隊のスタート地点に着くと、我らが秘密倶楽部メンバーも浮き足立つ感じでソワソワしていた。 「この日のためにオペラグラス新調したんだー!」 どんな時でもバードウォッチング…バードウォッチ隊は鬼とか関係無しにチームを組んで行動するようだ。 「隊長を捕まえることができれば…チェキ…(ポソッ」 「じゃあ俺を捕まえることができなかったら…ひなたの恥ずかしい写真撮らせて」 「ふえ!?…隊長!えっ、えっ…わ、私の…?」 予想外にも逃げる側と鬼が逆転していたこの二人は、今日も今日とてピンク色の空気を醸し出し、早よ結婚しろという感じである。(付き合ってない) 「時也ー。始まったら俺のことソッコー捕まえろ。俺は第2保険医とバレー部キャプテンを見守るのに忙しい」 「先輩。そう言いながら、始まる前からタグを俺に渡さないでください」 ことりパイセンはすでに別の事に集中している。新聞部の部室で見つけたシークレットなラブに一番反応していたのはことりパイセンだったもんなぁ。 時也パイセンは、鬼に捕まったら渡さなければならないタグを早々に渡され、困っていた。が、ことりパイセンをきっかけに、他の逃げる側のメンバーからタグをドンドン渡され、ため息ついて諦めている。 「おう、まこ。お前も抱かれたい奴がいたら積極的にタグを渡して良いんだぞ」 「俺は食堂1ヶ月無料に抱かれて、期間限定パフェを限界まで食いたいから最後まで逃げるwww」 「チッ」 んだよwwチッてwww 隙あらば俺をホモの餌食にしようとすんなしww 「うぐ…日差しが目に刺さる…」 ミッチーは昨日早く寝る!と息巻いていたのに、寮に戻ったら楽しみにしていた新刊が届いていたらしく、読むのが止まらなくて夜更かししたらしい。気持ちはわかる。 でもその言い訳は一昨日も聞いたわ。 「だいじょぶ?そんなんで逃げれる?」 「気合いで…」 わかる。美味しい餌(BL)があるとどんなコンディションでもがんばっちゃうよね…。二徹でも。若さと情熱で。 「白川」 「え…楢崎先輩…」 書記陣地にメンバー以外の声が聞こえて、瞬時にキャラ切り替えをする。みんなも慣れたもんだねwww って、おおおおお?この人、我が秘密倶楽部でもミッチーのお相手と名高い2年風紀の楢崎パイセン! さっきまでのざわつきが嘘のように、周りにいたメンバーは〈●〉〈●〉ジッ…と二人を視界の端で見守り始めた。こういう時のチームワークはんぱない。 「その…大丈夫か」 「ふ…ふん!わざわざ注意しにこなくても別に問題起こさないもん!」 「…ちげぇ。顔色少し悪いから」 「え」 「んだよ。普通に後輩の心配しちゃ悪りぃか」 ぶりっこミッチーが唯一ツンデレになってしまう楢崎パイセンの、ぶっきらぼうな気遣いに頬を染める。 誰がって?俺たち全員がだよ!!www だって親衛隊もチワワも後輩とやらもたくさんいるなか、ミッチーだけ特別扱いしてんだよ!? ミッチーもあんだけ否定していたのに、頬染め通り越して、ポーっとしている。 「ミチ…昨日、から、体調不良…」 「まぁ!ではさきほど何も無いところでフラついていたのはそのせいなんですね!」 「ミチ、まだ万全じゃないのなら保健室で休みなさい」 白々しい演技であるwww 俺たちの意図に気付いたミッチーが慌ててキャラを作り反論してきた。 「全っ然平気ですぅ!それに1年幹部の僕が抜けるわけにも…」 「俺、のために…無理、しない…で?」 親切心から心でサムズアップして見送ろうとしたのに、『ま こ 、 て め ぇ … 』って顔で睨まれたよぉwwこあーいwww 「や、やだぁ!無理なんて…」 「…連れてくぞ」 「ひゃわっ!?」 アッーーー!!楢崎選手、華麗なる姫抱き決めましたァアアア!! あ、あ、あまーーーい!!! 「ばかばかっ!先輩のばかー!おろしてよ!!」 「うっせ」 真っ赤になって怒っているミッチーをスルーして、楢崎パイセンは鮮やかに連れ去っていった。 「まこ、良かったのか。お前ミチは攻め派だったろ」 「BLだったらね。でもミッチーはBLというより少女漫画の主人公っぽいから…」 これはこれで尊い。手を合わせておこう。 「あっ!お姫様抱っこの写真撮り忘れていた!」 「ウワァン!せっかくのシャッターチャンスがー!」 「うそだろ。こんだけいて、皆して写真撮り忘れ…」 「あっあの…お姫様抱っこされる直前からの動画なら撮っていました…前の会話までは撮れませんでしたが」 ひなたパイセ〜ンwwwアナタがMVPですwww しゅきっ!とみんなに言われながら抱きつかれているひなたパイセンはアワアワしていた。
/164ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1909人が本棚に入れています
本棚に追加