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レモネードのような甘酸っぱいミッチー達を見送ったら、すぐにスタートの合図が鳴った。
がんボルゾイ!わんわん!
まずはどこに逃げようかなっと。5分後に鬼側もスタートするから、それまでに隠れる場所を探す。
見つかっても逃げやすい場所と考えたら、校舎内はパスかな。意外と木の上とかバレないじゃね?と手ごろな中庭の木に登ったら、まさかの先客がいた。
「倉知、先輩」
「ドォーモ。…何となく来るんじゃないかなーとは思ってましたー」
「ふへ…今日、は、まだ踏んでない…」
「そうそう毎回踏まれませんよー」
毎回驚くぐらいのエンカウント率wwもしかして気が合うのかもしれないwww
と呑気に思っていたけど、慌てて周りを確認する。
「どうしたんすかー?」
「親衛隊…いないかな、と…」
「ああ…」
秘密倶楽部の被害にたびたびあっているせいか、倉知パイセンも軽く周りを見ている。
「なん、で、隠れてる…?」
確か新聞部と放送部は、撮影や集計のためスタッフ側にまわっていたはず。
「撮影と警備の手伝いを兼ねてですかねー」
どうやら写真を撮るだけではなく、怪しい動きをする生徒を見つけたら、警備に連絡をする役回りらしい。大変ねー。
「あ、始まったみたいっすねー」
鬼側が猛スピードで駆けていくのをしばらく見ていた。
「鬼ごっこじゃなくてかくれんぼになってますよー」
耳元でポソポソ言われてくすぐったい。そんなこと言ってるけど、鬼に見つからないよう小声で言ってくれるあたりやっさすぃ〜!鬼畜なのは顔だけねwww
「隠れ、てる、人…多い…」
素直に走って逃げている人と半々って感じだろうか。鬼側がスタートしてまだ15分しか経っていないのに、すでに捕まっている生徒もいるが、イケメン君に捕まった子は目をハートにして満足そうである。ぐふふwww
「待ぁあああてぇええええ!!」
「おい、そっち行ったぞ!」
「さっさと捕まれ!紫悠斗!!」
「誰が捕まるか!1人に寄ってたかって卑怯だぞ!!!」
賑やかな集団が走ってきている。言わずもがな悠斗だ。…てか、鬼以外からも追いかけられてね?
「あー。学校行事にかこつけて紫君に1発食らわせたいって輩っすかねー」
なぬ!俺のせいで悠斗ピンチなの?
「たす、ける…」
「あっ、ちょっ」
木から飛び降りて、悠斗と鬼(とその他)の間に立つ。
「きゃあああ!七海様!?」
「天使!?…いや書記様が舞い降りてきたぞっ」
「…つまり、捕まえれば2ショ撮れる?」
「「「………ゴクリ」」」
あっれー?半分ぐらい引き受けるつもりで降りたけど…雲行き怪しいぞー?
「「「捕まえろぉおおおおおお!!!」」」
こっわ!こわこわ!!
半分どころか全員来てない!?顔だけ役員なのにこんなに釣れるもん!?
しかし負けるわけには行かんのだ!俺には本命の食堂1ヶ月無料ちゃんと結ばれるという野望があるのだ!!本気で逃げるぞーい!
「うそっ!はやっ」
「くそっ追いつけねぇ!」
ガンガン突き放して行くけど、騒ぎが大きかったせいか正面からも鬼が来て挟まれてしまった。
「やった!書記様を追い詰めたぞ!!」
「七海様ぁ!タグを僕にくださぁい!」
お断りしまぁーっす☆
前にも後ろにも逃げられないなら、残るは校舎の壁しかない。
植え込みと木、外側の窓枠を駆使して壁を駆け上がり、二階校舎の渡り廊下へと飛び上がって逃げ切ってやったぜ!
「すっご…」
「七海様…素敵…」
取り残された生徒達は、悠斗のことも忘れて立ち尽くしていた。
「…ふ」
思わず下にいる鬼達にドヤ顔をしてしまった。油断は禁物だよねwwwさっさとこの場を離れようっと。
校舎の中へと一旦避難しに行くと、1テンボ遅れて外からものすごい悲鳴が聞こえた。なんwwwまじビビったwww
「っは。忍者かよ」
(…今回はシャッターきるの間に合った。次の新聞に載せたら、写真の売上も上がりそうだな。……はぁ、相変わらず反則な顔)
画像データを確認している倉知パイセンがため息をついたことも、その理由も、俺は知るよしもなかった。
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