一章

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たっぷりと寝た翌日、朝起きていつも作り置きをしているタッパーの中身を、弁当箱に食材を詰め込んでいる時も体がだるいのは変わらなかった。どころか、昨日よりも酷くなってる気がする。 「さとくん、?なんか、顔赤くない?」 学校に登校してきたゆうくんにおはようと挨拶すると、顔を合わせて直ぐにそう言われた 「え、?」 やっぱり風邪引いたのかな、 「体調悪いんなら保健室行くか、早退した方が良くない?」 心配そうに僕の顔を覗き込み、おでこに手を当てて、やっぱり熱いよ、と口にした。 「はい、体温計。一応確認しておくけど発情期ではないわよね、?」 保健医の先生に体温計を手渡されピッと電子音を鳴らして脇の間に挟む。 「はい、僕ベータなんで。」 結局、ゆうくんに保健室に連行され1時間目の授業に出ることも無くベットに横になる。 「・・・はぁ、、最悪だ、」 今日は体育祭の練習の日、出場種目が借り物競争の僕は特に練習することも無いため、憐くんが練習している所を見たかったのに。せっかく他のクラスの子達に邪魔をされないまたとないチャンスが・・・本当にびっくりついてない。 そんなことを考えているとピピピッと体温計が鳴った。 「どれどれ~、あら、38.8度結構高いわね。どうしょうかしら、とりあえず今は薬を飲んで寝て、少ししたら寮まで送ってもらいましょう。発情期じゃなく、普通の風邪なら公欠扱いにはならないけど、」 そう言って水と粉薬を渡される。苦そう。そう思いながらも一気に口に含み水で流し込む 「じゃあ、先生ちょっとだけ担任の先生に報告してくるから横になっててね」 保健医の先生が出て行った後シーンっと静まり返った保健室。なんだろう、この感じ、体がだるくて頭がクラクラするのはいつもと同じ風邪の症状だけど。全身の血液がぐつぐつと煮えたぎっていく様な感覚。とりあえず体が熱い、焼けきりそうなほど胸がいっぱいになる初めての感覚に不安になって体を丸めて両手で抱く。
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