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一体いつから?そんな事はとっくの昔に忘れ去ってしまう程にもう随分と長い間僕の世界は彼中心で廻っていた。
優しくて格好良くて、なんでもできるスーパーヒーロー。幼稚園の頃とろくて人見知りで吃り症が酷くいじめられていた僕を良く助けてくれた。彼はきっと優しいから泣いてばかりいた僕を気遣ってくれていたのだろう。その内直ぐに問題を引き起こす僕から目が離せなくなってしまったのか、彼は気が付くといつも隣りに居てくれた。僕はそれが嬉しくてたまらなかった。優しい彼の性格を利用して、自らに縛り付けている自覚はあったがそれでも誰にでも分け隔てなく接する彼が自分にだけ他よりほんの少し近くで目をかけてくれている事が素直に嬉しかった。だから、罰が下ったのだろうか。人の優しさを利用する小賢しい僕は彼の傍に居ていい人間ではなかったのだ。
彼はきっとどんな時でも僕の傍に居てくれる。そんな考え、なんておこがましいんだろう。けれども幼い頃の僕はそれが当たり前だと信じて疑わなかった。ピンチを救ってくれるヒーロー。誰からも好かれ、望まれる。そんな彼が当たり前の様に隣にいてくれて、僕だけに微笑んでくれる。そんなヒト、好きにならない方がおかしい。なんて、、、誰に言うでもなくそんな事を1人考える。それが最高に不毛な恋をもう何十年もしている自分に向けるせめてもの慰めだ。
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