二章

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「何だか久しぶりだね」 「う、うん」 「あれ?また緊張してる?」 そう言って肩を揺らし微笑む彼を見上げる。相変わらず同じ男子高校生とは思えぬ品を漂わせ、僕と目線を合わせるようにしなやかに伸びた背を僅かに屈めた。まるで幼子を相手取るようなその仕草に少しむず痒さを感じる。妙に視線を感じるのは気の所為だろうか。 「あ、そっちの子は噂のゆうくん?」 「初めまして、白石 悠です。」 「はい、はじめまして。俺は鈴弥司狼です。君の事は谷くんからよく聞いてるよ」 「俺も聞いてます。さとくんのこと助けてくれてありがとうございました。」 「あははっ、聞いてた通りの子だね」 良い友達を持ったね谷くん。屈託のないにこにこ笑顔でそう言われ思わず素直に頷いた。 「鈴弥ーー!!サボってんじゃねぇぞこの野郎ーー!!」 「あ〜残念、みつかった。じゃあまた今度、バイバイ2人とも」 グラウンドの方から聞こえて来た野太い声に反応し身軽な動きで颯爽と去って行く彼へと手を振り返しその背中を見送った。 「胡散臭い」 「ゆうくん…」 輝く銀髪を風に揺らし御伽噺に登場する王子様のような彼の後ろ姿をじっと見つめていたゆうくんがボソリとそう呟きを漏らした。 「さとくん、彼等に気を許したら駄目だよ。アルファなんてこの世で一番信用ならない相手なんだから。」
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