一章

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ーーピピピッピピピッ 「あ〜、、、うるさい」 いつも通り最大音量に設定したアラーム音で目が覚めた。5分おきに設定しているアラームを全て解除しベッドから這い出る。朝が苦手な僕が寮生活なんて、全く向いていないのでは?と入学前から何となく、いや、ひゃくぱーせんと予想していたのだが少しでも長い時間大好きな幼馴染と一緒に過ごしたいという下心からこの寮へ入寮する事を随分と前から決めた。とは言っても、コレはここへ来てから初めて知った事だが、この寮はそれぞれ‪アルファ、ベータ、オメガで使用スペースが別れている為今の所全くと言っていいほど彼との接点はない。オメガに至っては一番遠い東の別棟に別れているぐらいだ。まぁ、ベータである一般ピーポーの自分にはアルファ‬と同等の才能や財力があるはずがないので、普通に考えればこれが当たり前なのだが。 「せめて、顔だけでも見る事ができたらな、せっかく同じ学校に入学したのに。まぁ、唯一の救いはクラスが同じ事ぐらいか」 元々この学校は都内でも有名な進学校で文武両道を掲げている。良い所の坊ちゃんやお嬢ちゃんも多く在学し、一般人(主にベータ)よりも能力の優れた‪アルファ達が多く集まり、その‪アルファと唯一無二、番を結べるオメガも結構在籍しているそうだ。普通、アルファとオメガは互いを誘うフェロモンを纏っているらしいがそこら辺はベータの僕にはよく分からない領分の話だ。 「憐くんがこの学校に進学するって分かってからありえない程勉強したもんな〜えらいぞ〜自分。」 積極的に自分を褒め自らのモチベーションをコントロールする技はこの学校に入学してから習得した。 学食で朝ごはんを食べ終え、のろのろと制服に着替えて徒歩10分とかからない学校を目指す。 「おはよ〜さとくん!」 教室へ入ると一番に僕が唯一普通に喋る事ができる白石 悠(しらいし ゆう)君が手を振ってあいさつしてくれた。 「おはよ〜ゆうくん」 彼はオメガで名前通り白くて綺麗な肌に、優しそうな顔つきの男の子だ。本人に言うと怒られるが若干低めの身長といつもピンク色な頬がなんとも可愛らしい。僕がお得意の人見知りを存分に発揮し他のクラスメイトと上手にコミュニケーションを取れず下を向いてビクビクしていると真っ先に声を掛けてくれた、とっても優しい子だ。 「あ、さとくん。ま〜たネクタイ曲がってるよ」 そう言いながら僕の曲がったネクタイを綺麗に直してくれる。 「わわっ、ほんとこれだけは慣れないな〜ありがとゆうくん」 僕は特に手先が器用という訳ではない為、割と毎朝彼にこうして直してもらっている。一応何度か鏡の前で練習しているのだが、全く成果が見られない。何に対しても不器用な自分が本当に嫌になる。 「も〜、さとくんてほんとに抜けてるよね。天然だしさ、きっと皆んな本当のさとくんを知ったら友達になりたいって思うよ、あ、でもそうなったら俺より仲の良い子が出てくるかもだからそれはやっぱりいいや」 なんて言ってニンマリと微笑むゆうくん、ホントニカワイインデス。
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