一章

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「う、うん!ゆうくん綺麗だよね。」 なんて少しズレた返答をすると、 「まぁ、さとちゃんの方がかわいくて俺は好きなんだけどね」 なんて冗談で言うから本当に困る。 「憐くん、それは有り得ないかな」 コレだけは冷静に返す、嬉しけど悲しい。憐くんにそう言われる度僕の好きと彼の好きの違いを痛感されられる。 「なーんで、さとちゃんはそんなに自己評価が低いかなぁ?優しくて料理上手で、びっくりしちゃうほどかわいいのにね。」 本当に不思議とでも言うように首をコテンと傾ける彼のこの仕草が僕は密かに好きなんだ。その大人びた見た目とのギャプが堪らない。 「まぁ、これがよく聞く幼馴染の特権ってやつか!ならそのままでいいや〜」 彼はきっと‪アルファでなくとも誰からも支持されるのだろうな。彼の一番の魅了は見た目でもステータスでもなくその中身なのだから。楽しい時間は直ぐに終わってしまう。気づいたらもうお昼休みも終わろうとしていた。校舎側から聞こえてくるチャイムに夢から覚めたような気分になった。 「よし!さとちゃん、そろそろ教室戻ろっか?」 少し名残惜しい気がするが重いおしりをあげながらいつもの教室に彼と共に帰る。 「憐くん、」 僕のペースに合わせて歩いてくれる彼を見上げその名を呼んだ。 「ん?」 幾らか高い場所からいつもの様に口の端に少し微笑みを浮かべた彼はこちらに視線を向けた。 「今日はありがとう、ま、また一緒に、ご飯、食べてくれる?」 恐る恐るそう聞くと一瞬きょとんとした顔をされた。予想外の反応に心臓が止まる。嫌だったのだろうか…やばい調子に乗り過ぎた? 「あっ、そのっ「はいどういたしまして!もちろん、本当は毎日一緒でもいいんだけどな〜ミーティングがあるからね、なんにもない日は一緒に食べよう!って言っても全然少ないんだけど」 良かった、そう言ってくれるだけで十分だ。 凍りついた心臓がまた鼓動を早める。 「ありがとう」 今日はいい日だな〜きっと星座占いNo.1の日だ!! 「ふふっ、そんなにいい日だったの?さとちゃん星座占いとか信じるんだね?」 かわいいね。あ、また口に出してしまっていたのか。かァっと頬に熱が集まるのが分かった。普通に恥ずかしい… 「あ、いや、ちがう、いや、違くない。」 「ふふっ、どっちなの?」 なんて会話をしているともう教室に着いてしまった。中に入った途端、憐くんはいつもの様に可愛い子達に囲まれる。その横をトコトコとすり抜けて自分の席までたどり着く。はァ、と息を吐いて憐くんを見るとさっきまで僕が居た場所には綺麗で可愛い子達が当たり前の様に彼の腕を取り絡め笑っていた。チクッ、少し胸が痛む。ちょっと近付けたと思うと、あっという間に遠ざかる。
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