一章

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僕にとっての絶望は、大好きな人が自分の知らない人と手を組んで仲睦まじく笑い合っている所を見た時。その事は今初めて知った。あぁ、遂に彼にも恋人ができたのか、、その様子を遠くから眺め冷静にそんな事を考える。 基本憐くんは他人からの好意は大切にする。それは決して、告白されれば手当り次第付き合うとか、身体だけの関係を持つとかそういうんじゃなくて、その人に真摯に向き合ってくれるのだ。「ごめんね、今は部活に集中したいんだ、でもその気持ちは嬉しいしかったよ。もし、お友達からでもいいなら、」 告白されれば必ず直接相手に会いに行き笑顔でそう言い手を握ってくれる。 だから、彼を好きになる人は絶えない。 本当に生粋の人たらしだ。 なんで僕がそんな事知ってるかって?……け、けっして、ストーカーではないので勘違いしない欲しい。 ただ、あの日憐くんが連れて行ってくれた中庭はすっかり僕のお気に入りの場所になっていて、ゆうくんがいない時僕は足しげくそこに通っていた。 いつもの様にそこに行くともう既に先客が居たみたい。 聞き覚えのある優しいテノールに聞いてるだけで伝わってくる緊張を宿した高い女の子の声。 聞いちゃいけないって、早くそこから立ち去れと僕の本能がそう言う。 そんなことがあったのがほんの数週間前 それからあきらかに距離の縮まった2人。これは時間の問題かな~なんて思ってたら案の定。嬉しそうな顔をした女の子をみて、あぁ上手くいったんだね。そう直感した、 背の高い彼の隣で顔を赤くして笑う可愛くて華奢な女の子。 お似合い その一言に尽きる。 彼女はオメガだろうか、?きっとそうだろう、あんなに可愛くて守ってやりたいと感じさせられるその見た目に行動はきっとそうに違いない。 ーーいいな 女で、オメガ。彼の隣に居られる条件を多いに満たしている。 周りの人達だって、羨ましい。妬ましい。という目線を寄越しながらも、どこか納得しているような顔をしているような気もする。そりゃそうか、自分よりもあきらかに可愛いその子が憐くんの隣にいるのはなんだかしっくりとくる感じがするもんな、自分では無理だと、あの中には入っていけないときっと皆そう思ってるのに違いない。
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