引っ越し日和

引っ越したくない

置かれた場所なんかで咲けない
場所を選んで花は咲くもの
場所が悪ければ芽も出ない
アスファルトの隙間で
健気に咲いた花を見て
置かれた場所ならどこでも咲けるなんて
正論、今は聞きたくない

決まったことだから楽しもう？
引っ越しは避けられない？
致し方ないですね？
説得されても納得出来ない
引っ越したくない
でも残る訳にもいかない
誰も悪くないのに
誰かを恨みたくなる

今まで生きてきた道を
急に変えられる理不尽

でも、ひとつの土地で
自分で選び取ってきた道は
本当に自分だけの道だろうか

居場所があって縁のある人がいて
自分の努力や意思だけではなく
運の良さや周りの協力もあった
選び取ったと思っていた道は
相手から選ばれていた道でもある
ひとつの土地に根を張ったからこそ
出来たことがあり
逆に出来なかったこともある

場所が否応なしに変わることは
その場所から選ばれたということ
後はその場所を好きになればいいだけ
頭で理解しても心が追い付かない

何日もかけてピストン輸送
引っ越しの日は毎回憎々しいほど
晴れ、晴れ、いつも晴れ
引っ越し日和に欠かせない晴れ女
心の中はどんより曇り
嵐が渦巻いているのに

もう引っ越しで頑張るのに疲れた
でも場所を選ばず出来る
仕事と趣味に恵まれてる
それだけが支えだ

短期パートばかりと言われようと
泡沫ライターと揶揄されようと
自称小説家と笑われようと
文を読み、文を書くことは
私の軸、私の種、どこにいても出来る

転勤についていく度に
毎回毎回、何もかも変わることすら
文章のネタに出来る日が
きっと来るかな