209人が本棚に入れています
本棚に追加
ダイナミクス検査は、DNAの採取と簡単な問診にて行われる。隆史は口に綿棒を突っ込まれ、頬の内側の細胞を採取された。
「じゃあ、これに答えていってね。学校で一回やってるから、大体わかると思うけど」
そう言って、医者は診察室でバインダーに挟まった紙を渡してくる。それは裏表合わせて三十問ほどの問題が書かれていた。
「ベットの中で抱えて眠りたいものは?」
「果物を選ぶ基準は?」
「あなたの一番おしゃれな服にアクセサリーをつけるとしたら?」
それぞれの選択肢は5つあって、隆史はそれらに丸をつけていく。こんなもの、よく考えたって仕方がない。裏をかこうとすれば、それだけおかしな結果になるかもしれないのだ。時間をかけずに直感的に、隆史は問題に答えていった。
十分もすれば、すべての回答が終わる。それを目の前にいる医者の渡すと、お疲れ様と声をかけられた。それが終わりの合図らしく、隆史は診察室から出ていく。
結果は二週間後に郵送されてきた。どうやら隆史が学校に行っている間に届いたらしい。家に変えると、郵便ポストに病院の名前が入った封筒が入っていた。
両親は隆史の両隣に腰掛け、緊張した面持ちで封筒が開けられるのを眺める。鋏で封筒の上部を切ると、中には一枚の白い紙が入っていた。
これで、決まる。自分がどう生きていかなければいけないのか。今まで通りSubとして生きていくのか。それとも、新たにDomとして意識を変えなければいけないのか。
もちろん両親は、隆史がDomだろうがSubだろうが関係ない。しかし今後の人生に大きく関わってくる問題なのだ。いくら隆史が望んでも、Dom同士のカップルが長続きした試しがない。
最初のコメントを投稿しよう!