またお会いしたかったんです

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 そうこうしているうちに、もう出発しなければいけない時間が近づいてきた。しかし隆史の心はまだ、決められずにいる。 「……」  なんともなしにテレビを眺めながら、チラチラと時計を確認する。もう番組は違うものに切り替わっており、タレント二人がキャッキャッと楽しそうにショッピングモールを巡っていた。  司はもう、家を出ただろうか。と、そんなことに思いを馳せる。鶯谷から上野なら、まだギリギリ家にいるかもしれない。ならば、今連絡すれば司は無駄足を踏まずに済む。  しかし、隆史には司が待ち合わせのベンチに座っている光景が見えた。人の波にキョロキョロと目を配り、隆史が来るのを待っている。遅いなぁ、と腕時計を見ては、困り顔で連絡しようかどうしようか迷っている。 「やっぱ、直接口で言ったほうがいいよな」  潔く、フラれよう。何が後押ししたのかわからないが、隆史は決意するように口に出した。そして鞄を取り上げると、玄関へと向かう。  この決意が、また折れませんように。そう祈るように隆史はドアノブを回した。
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