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問題のある二人
愛されたい、でも自分に自信がない。杉山隆史はこの十数年、心に巣食う寂しさを飼い慣らしながら生きてきた。しかしそれも、今日でおしまいになる。そう胸に淡い期待を抱いていた。
隆史は人の波に流されながら、日暮里駅の改札を通って外に出た。残念ながら天気予報は外れそうにないほどの、青い空が広がっている。また今日も熱くなるのか。そう考えて、隆史は思わず眉をしかめた。
ジーンズの尻ポケットからスマホを取り出すと、地図アプリを開いて目的のカフェへの道を調べた。それほど遠くはないらしい。駅から歩いて十五分のところに、真っ赤なポイントマークが立てられている。
このカフェというのは、今から合う相手、ネットのDom/Subパートナー紹介所「シェリエ」で出会ったツカサという人物が指定してきた店だった。
Dom/Sub専用カフェではなく、下町のコーヒー専門店。調べた限りでは和風な作りの内装で、落ち着いた雰囲気が漂っていた。隆史はコーヒーは嫌いだが、他にもドリンクはあるらしいので安心する。猫の形をしたケーキか数種類あるらしく、それがそのカフェの売りの一つらしかった。
馴染みの店なのか、それともたまたま家の近くなだけなのか。しかしこのチョイスからすると、ツカサの趣味なのかもしれない。
「あっち……、か?」
初めての場所に戸惑いながら、隆史は東口に向かって、歩き始めた。
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