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「セナ、いるなら声をかけろ」  レイが本を閉じ、オレを見ずに声をかける。 逆立った髪は、まるで針のようだ。銀髪が、白熱灯の光に反射して、冷たく光る。  炎のような真紅の瞳。  鍛えられた身体に纏った迷彩服。ゴツゴツした黒のブーツ。オレと同じ格好なのに、オレよりも背の高いレイには、よく似合っている。  オレとは全然違う。レイは全てがかっこいい。  レイはオレに近づき、オレの肩を掴み、右手で後ろ頭を支える。鼻同士がぶつからないよう、顔を斜めにしながら、噛み付くように口づける。唇を唇で何度もはみ、催促するように、舌先でオレの唇と唇の間をつつく。  いつものように、オレはレイの首に抱きつき、舌を出す。レイは、舌先同士を合わせ、唇でオレの舌を挟みこむ。レイの舌が、オレの舌下に潜り込む。オレはレイの舌の上をなぞり、舌先でレイの唾液を味わう。  口の中で唾液が混ざり合う、グジュッという音が、脳に響いてくる。  耐えきれなくなったオレは、レイの右足を両足で挟み、まるで犬が尻尾を振るように、腰を小刻みに動かして股間を押しつける。  オレについた返り血と、レイの匂いに酔ってしまいそうだ。  レイは唇を離し、自分の唇から(こぼ)れた唾液を舐めとる。しまった、レイにまで返り血がついてしまった。だが、レイは気にすることもなくオレに言う。 「返り血、洗い流してこいよ。この家のシャワーはお湯が出るぜ、セナ。 …まだ今日は、やんなきゃならねえ事がある。続きは後だ。セナ」  無表情のまま言うと、オレの身体をひっぺがし、両手についた返り血を自分のズボンで乱暴に拭うと、レイはその部屋を出ていった。
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