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002
左手にミリタリーナイフ、右手にピストル。それが、オレのスタイルだ。
以前、サムに言われたことがある。ナイフより拳銃の方が、殺しやすいんじゃないの?って。
でも、拳銃だって万能じゃない。特に超接近戦には向かない。機械である以上、故障や不具合だってある。
その点、ナイフは定期的に研ぎさえすれば、故障なんかしない。
なにより、皮膚を貫き、血管を切る感触が好きだ。人を殺していると実感する。
肩甲骨あたりまで伸びた、黄色の髪。シャワーを浴びて濡れた髪を、髪ゴムでひとつにまとめて結び直す。
男のくせに、なんてゴウは言うが、髪を切るよりめんどくさくない。そんなに邪魔にもならないし。
リビングでは、家族のみんなが、思い思いの姿勢でくつろいでいた。
サム、アズ、シグマ、エス、アイル、ユイル、ニック、イヅ。大切な、オレの『家族』たち。
みんなをリビングに集めたのは、オレたちのリーダー、レイ。
そのレイが、リビングに入ってくる。
無表情のまま、みんなの前に立ち、全員を見下ろす。
立っているだけで威圧感を醸し出す男。それがレイだ。
「みんな、よくやった。
当初の予定どおり、しばらくここをアジトにする」
みんなが歓声を上げる。
「やった!ここって、水道があるんだよ!井戸で水くみしなくていいんだ!」
両手を上げて、無邪気に喜ぶユイル。
「しかも、シャワーはお湯が出るんだぜ!最高だよな!」
アイルもガッツポーズで喜ぶ。あいつ、冷たいの苦手だしな。
「頑丈な屋根のある家っていいよな。今までの、廃材を組み合わせて作った小屋と違ってよ、雨漏りもしなさそうだし、ネズミに齧られることもねぇよ」
ゴウも珍しく、傷だらけで強面の顔を緩ませている。
…やっと手に入れた。
ここが、夢にまで見た、オレたちの家。
念願の、オレたちの家。
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