002

5/5
前へ
/290ページ
次へ
「あっ、あっ……レイッ…っ」  オレの腰を支え、レイは律動を激しくする。なんとか手すりだけは握っているものの、頭すら支えられず、下がっていく。コンクリートの床を見ながら、喘ぐことしかできない。よだれが溢れ落ち、コンクリートにシミを作っていく。 「あっあっ…レイ、イきそ…」  堪えきれずに左手だけ手すりから離し、自分の竿を握る。軽く数回擦っただけで、待ちきれなかった白濁液が飛び散った。  脱力するオレに構わず、レイはさらに律動を早め、オレの中に全てを注ぎ込んだ。どくん、どくん、と注ぎ込まれる、温かい液体。  レイがずるりと自分のものを抜く。支えを失ったオレは、コンクリートの床に膝をつく。冷たいコンクリートの感触を感じていると、レイが後ろから抱きしめ、耳元で(ささや)いた。 「なあ、セナ。 いつか、この世界を、俺たちのものにしてやろうぜ。この、俺たちを否定した世界を。 そうだ。俺たちの存在を否定するやつは、誰であろうと殲滅(せんめつ)してやる。 おまえは俺の物だ。愛してるぜ、セナ」 「そうだな、レイ」  目を閉じて、レイの手を握りしめる。 暖かい手のぬくもり。あの、ゴミ溜めのスラムの少女を思い出す。  失いたくない。家族を、そしてレイを。  もうオレは、家族を誰一人失いたくない。だから!  目を開けて、虚空を睨みつける。そして、見えない敵に向かって宣言する。 …オレたちの存在を否定するやつは…レイの敵は、誰であろうと殲滅(みなごろし)だ!
/290ページ

最初のコメントを投稿しよう!

138人が本棚に入れています
本棚に追加