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003
オレにとって、レイは『恋人』で、サムは『親友』だ。
そして、親友であるサムは、オレに『セナ』という名前をくれた恩人でもある。
オレは目を閉じて、五年ほど前の出来事を回想していた。
人間には、神様より、殺人鬼よりも怖いものがある。それは飢餓だ。
真綿で締められるかのように、少しずつじわじわと、だが確実に迫ってくる死の恐怖。
飢餓は人から全てを奪う。気力も、優しさも、人間性も。そして、ただ食欲に突き動かされるだけの、生ける屍に成り下がる。
オレの『家族』たちは、みんな知っている。身をもって経験している。飢餓の恐ろしさを。
飢餓に襲われるくらいなら、銃弾の雨の中に身を捧げた方が、まだマシだろう。
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