prologue

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 ゴミの隙間から這い出てきた、幼い少年。年は八歳くらいだろうか。ボサボサの黄色い髪には泥がついている。  サイズの合っていない、敗れたTシャツ。裾を折ったズボンは、ウエスト部分が緩く、今にも落ちてしまいそうだ。  皮膚のところどころに見える、火傷の跡。日焼けで皮がむけた肌。  黒い煙が吹き出すゴミ山に、裸足で登る。そして、鋭い日差しに照らされながら、骨と皮しかないような細い腕で、ゴミを漁る。  少年には、家族はいない。  だから夜は、火災と野犬を避け、ゴミの中に穴を掘って隠れ、一人でゴミ袋を抱きしめて眠る。  それが、少年の日常だった。  そんなある日。  少年はゴミの中に、一振りの錆びついたナイフを見つける。  少年はしゃがんで、ナイフの黒い(グリップ)を手に取った。その姿勢のまま、ただナイフを見つめていた。錆びついた赤褐色と、その形状の美しさに魅せられたかのように。
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