7人が本棚に入れています
本棚に追加
進路と成長期
「見えるぞ」
「!?」
俺の言葉に、教室の中央、自分の机の上で窓側を向いて体育座りする〇〇美が太ももの下のスカートを両手でたくし込む。
「どうせそっちからじゃ見えないじゃん」
振り向いた〇〇美が廊下側の席の俺に微笑みかける。
「まあそうなんだけどさ」
相変わらず体育座りの〇〇美に言葉を返す。
放課後、何をするともなく図書室から借りて来た本をパラパラめくっていた俺。
ふと顔を上げるといつの間に居たのか机の上で体育座りの〇〇美。
「〇〇君進路決めた?」窓を向いたまま○○美が聞く。
「いや、まだ」
「あたし達2年になるんだからもうそろそろ決めないとね」
至極もっともな意見だが、正直まだ考えたくない。
見てもいない本のページを意味も無くめくって見せる。
ひらりと机から降りた○○美。
「どうせ何も考えて無いんでしょ」
「少しは考えなさいよ、こっちばっかり気にしてないで」
俺の前まで歩いて来ると笑顔で言ってスカートをまくってみせる。
スカートの下は無粋なスパッツ。
けたたましい笑い声をあげて教室を出ていく○○美。
まったくわかってないなあいつは。大事なのは下着そのものじゃなく「スカートの下にある」という事実なのだから、下着だろうがスパッツだろうが思春期の男子には同じ事だというのに。
窓の外の青空が眩しい。
最初のコメントを投稿しよう!