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プロローグ
男は書店の月刊文庫を手に取ると、食い入るように開いたページを見ながらめくっていく。ふと手を止めると、じっとそのページに目を落としている。しばらくすると〝ピクッ〟と何かに反応をする男の顔は周囲も気にせずに満面の笑みを浮かべ「やった!」と小声で呟いた。
しかし直ぐにその表情には暗雲が漂い、誰からも分かるような落胆の様子を見せガックリと肩を落とした。
(ふざけんな! 紛らわしい名前しやがって!)
買うつもりで手に持った文庫を元の場所に戻すと、舌打ちをして書店を後にした。男の口元はニヤけていた。それがなぜなのかは分からない。
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