29人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
二人は何となく軽い身の上話を始めていた。
「そうなんですか・・・OA機器。どうですか、そちらの景気は?」
「いや~厳しいですよ。今はほとんどがリースの時代ですからねぇ。間に信販会社が入るから。直接買ってくれる会社なんて無いですもん」
「そうですねぇ、うちもみんなリースだなぁ」
「お仕事は何を?」
「僕は車のディーラーやっています」
「っぽいねぇ」
「そうですか?」
「うん、清潔感があってイケメンだし。で、やっぱドイツ車?」
「そうです。スゴイ洞察力ですねぇ」
「まぁね。あ、お名前は? 僕は亀野大成と申します。一生あなたの会社には縁が無いと思いますけど・・・」
はにかんで胸ポケットから名刺を出して差し出す大成。
「僕は天川優輝と申します」
「えっ?」目を見開く大成。
「何か?」
「あ、いや・・・」
手に取った優輝の名刺。会社はアウディだった。
「・・・!」眉をしかめる大成。
「大将、席をテーブルに移動してもいい?」
最初のコメントを投稿しよう!