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七年後
晴斗はスーツに身を包んで歩いていた。晴斗が勤めている会社は彼が大学で学んだこととはまるで関係のない所だったが、彼はとても生き生きとしていた。
晴斗は懐かしい公園を見つけた。丁度、桜が満開の時期で、柔らかな風が吹いていた。学生時代を回顧しながら桜を眺めていると、公園のベンチに暗い顔で腰掛ける、黒髪の少年がいた。彼は手に黄色い紙を持ち、見つめている。
晴斗はその少年を見てハッとし、たまたま鞄に入っていた上着を取り出すと顔を見えないように覆い隠し、少年に近づいて声をかけた。
「キミは今とても悩んでいる。そうだね?」
少年は晴斗に怪訝そうな目を向けた。晴斗はこの少年のことを知っている。そんな確信を持っていた。
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