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セフレ以上恋人未満
彼と出会ったのは、大学1年の夏。
大学教授が主催する、小学生を対象とした天体観測イベントのスタッフとして参加した際、彼は同じスタッフとして参加していた。
同じ学年で同じ学部・学科ということもあり、一緒に参加していた他の友人たちとグループで準備をすることも多かった。
しかし、男友達を作ったことのない私は、人見知りとしうことも相まって、グループの中ではあまり口数は多くなかった。
そんな私に気さくに声を掛けてきてくれたのが彼(Kくん)だった。
Kくんは、身長は低かったものの整った顔立ちをしていて、それまで私の周囲にはいない不思議な感覚の男の子だった。
男性と話をすることに慣れていない私は、ろくに顔をみることもなく緊張しながら適当に明るく振る舞っていた。
そんな様子を気付いてか、彼は私を見ては笑っていた。
どうやら普通の会話なのに緊張している私が、滑稽に見えていたらしい。
でもその笑いも決して馬鹿にしたような笑いではなく、友達として自然に接してくれるノリの笑いだった。
天体観測イベントは、夏休み期間中に数回行われた。
夏休みの宿題である自由研究の一環にもなっていたので、親子で多くの小学生たちが参加した。
私たちスタッフは、そんな参加者に星座や星の位置を教えたり望遠鏡を設置したりする役割だった。
そもそもこのイベントに参加したのは、知り合いの先輩がこの教授のゼミに所属していて誘われたからという理由だ。
元々、星座や天体が小さい頃から好きだった私は、喜んで誘いをOKした。
それに人見知りを克服するいいチャンスとも思ったし、大学生になってまだサークル活動なども特にしていなかったので、交流の幅を広げたいとも思っていたからという理由もあった。
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